メッセージを送信して、は詰めていた息を吐き出した。

  戦うためには、まずは剣が必要だった。
  頼れる相手は、限られている。使える手持ちのカードも、限られている。
  専用回線を使って送ったメッセージ       アクセス出来るのは自分を含めて3人だけ。
  このメッセージを逆探知することは不可能だし、彼らならしないという信頼もある。

  生きている証に、定期的にメッセージを残すこと       それが、自分がレジーナ・でなくなるための唯一の条件だった。


        俺よりも先に死んだりしたら、俺はその後の世界を滅ぼすぞ。お前がいない世界なんて、俺には必要ないからな      .

  メッセージが途絶えたら、彼は迷うことなく、それを実行しそうだ。


  専用のメッセージボックスに、自分宛のメッセージが2件あるのを見つけた。
  1件目を読んで、は思わず笑った。簡潔に書かれすぎていて、彼らしい。

        カティ・マネキンがアロウズに入隊      .

  自分は、随分無茶な要求を、今回のメッセージで書いた。
  きっと文句を言うに違いない。それでも、その無茶を叶えるために、彼は手を尽くすだろう。彼は、そういう人だ。

  もう1件、内容を一読して、は唸った。
  これは、レジーナ・の出番だ。トレミーを降りる必要もあるが      .
  (今回の件、好都合かもしれない・・・一度、"女王"が公の場に出た方が安全かもしれないし・・・)


  「まずは・・・・・・スメラギさんに話を通すのが先、ね。我が戦術予報士にお伺いしてから、イアン、っと」
  は腰を上げた。

  「ラッセには・・・・・・言わないわけにはいかないよね・・・迷惑かけっぱなしだもん、ね・・・・・・・・・」
  自室の扉を開ける前に、もう一度息を吐き出した。

  「・・・・・・本当は、世間から忘れられた方がいいんだけど・・・」
  落ちかけた視線を無理矢理引き上げて、は一歩を踏み出した。








     >> #07−3








     Photo by Microbiz