暗闇で、ぬくもりを逃がしたくなくては体を丸めた。
先ほどのラッセの言葉を思い出す。
また涙が溢れてきた。
( 大丈夫・・・アタシも覚悟を決める、決められる・・・・・・)
髪を撫でた優しい指も、触れた温かな唇も、ラッセの匂いがした腕の中も、すべてが心地好かった。
こんなに素直になれる場所があるなんて、知らなかった。
ずっと、傍にいたいと思った。
(だから、もう、戦える・・・・・・・・・そのせいで、ラッセの傍にいられなくなっても、アタシは後悔しない・・・)
矛盾してることは分かってる。
ラッセの傍にいるために戦うのに、その結果、離れることになるかもしれない、それでも戦おうとしている。
ラッセは傍にいていいと言ってくれた。
その言葉を信じていないわけではない。信じたい。信じたかった。
(・・・でも、ラッセは、アタシを知らないから・・・・・・)
知られたら、嫌いになるかもしれない。
それでも、今なら、あの温もりを知ってしまった今なら、後悔はしないと思えてしまう。
( たとえ、あの腕のぬくもりを失うことになったとしても、それでも・・・・・・・・・)
はぎゅっと瞳を閉じた。
頬を伝った涙が、そのままシーツに吸い込まれていく。
( 覚悟は、決まった)
「愛してる、ラッセ」
呟いた言葉は、暗闇の中へ溶けていった。
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