「あはははははは・・・・・・ついに手に入れた・・・オリジナルの太陽炉を!!」
リボンズは、ダブルオーライザーのGNドライブを大事に抱えて笑った。
刹那の駆るダブルオーライザーとの激しい戦闘の果てに、その肩にあったオリジナルの太陽炉を奪取することに成功したのだ。
「これさえあれば、僕はイオリア計画の体現者に・・・いいや! それすらも超越した存在になる!!」
喜びを押さえきれずに、リボンズは高々と笑った。
が、不意に機体が不安定に揺れた。
「機体のダメージが!! このままでは・・・」
機体から上がる黒煙に、リボンズは眉を顰めた。
GNドライブを奪ったものの、機体の損傷が酷かった。
激しい戦闘の中で、隙をついてGNドライブを持ち去ったが、ダブルオーライザーを、刹那・F・セイエイを葬り去ったとは到底思えなかった。
このままでは、遅かれ早かれ発見され、GNドライブを奪い返されてしまう。
リボンズは注意深く辺りを見回した。
「?!! これは 」
小さく反応したそれを拡大して、リボンズは、にやりと唇を歪めた。
「 運命だ」
モニターに映し出されたのは、乗り捨てられたオーガンダムだった。
かつて、まだソレスタルビーイングに所属していた頃、自分が乗っていたガンダムだった。
「まだ僕は、戦える!!」
リボンズは嗤った。
【そんな機体で、この私と張り合おうなど!!】
ぼろぼろのケルディムガンダムを前に、リバイブ・リバイバルは余裕を扱いていた。
だが、それはすぐに間違いだったと気付いた。
【くそっ!!】
スピードで上回るケルディムが、リバイブの銃を撃ち落した。
「システムの援けがなきゃ、イノベイターもその程度かよ!!」
だが、激しい銃撃戦に、ケルディムも被弾を免れない。
「っつう!! ・・・上等!!」
叫んで、ロックオンはリバイブとの距離を一気に詰めた。
弾切れの銃を捨て、ビームサーベルで切りかかってきたリバイブを避けて、短銃を抜いた。
【?!】
イノベイターの乗る機体に短銃を押し付けて、ロックオンは引鉄を連射した。
爆発 炎に呑まれるリバイブを見つめて、ロックオンは息を吐いた。
「これが・・・・・・ソレスタルビーイングだ・・・」
ケルディムも限界だった。
コックピットも、ぼろぼろだ。
「アニュー・・・・・・」
呟いて、ロックオンは瞼を伏せた。
「ケルディム、敵機を撃破!! 残る敵は、ガンダムタイプだけです!」
フェルトの報告に、スメラギは通信を開いた。
「・・・・・・イアン、聴こえる?」
【どうした?】
「R2の射出準備をお願い」
【おいおい、予備のドライブは 】
「やるのよ!!」
イアンの言葉を遮って、スメラギは声を上げた。
通信を切って、スメラギはブリッジの前方に視線を向けた。
「ラッセ」
「なんだ?」
「を探しに行って」
「・・・だが、航行が 」
「だからよ!!」
スメラギの剣幕に、ラッセは息を呑んだ。
「今のトレミーには、操舵手がいようがいまいが関係ないわ。航行出来ないんだから」
「・・・・・・」
確かにスメラギの言うとおり、今のトレミーはエンジン面に攻撃が直撃し、まともに航行することは難しい。
操舵手がいても、まともに舵をとることは出来ない状態だ。
「を迎に行って」
「・・・・・・・・・分かった」
スメラギの真っ直ぐな視線に、ラッセは頷いた。
フェルトとミレイナも、大丈夫と頷く。
「小型挺を使って」
「すまん!」
答えて、ラッセは駆け出した。
ブリッジを飛び出してしまえば、心を占めるのはのことだけだった。
(!!!)
ラッセは懸命に星空を見つめた。
どこかに、まだこの宙のどこかに、大切な人がいるはずだった。
だが、その人を見つけ出すには、宙は広すぎた。
ラッセは唇を噛み締めた。
「くそっ!!」
思わず漏れた悪態に、ラッセは眉を寄せた。
どんなにこの宙が広くたって、自分たちは出会うことが出来た。
こんなに広い世界で、自分たちは互いを求めあった。
「だったら、今だって!!」
どうして見つからないなんて思えるだろう。
必ず見つける、そう心に決めた。
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