ラッセは視線を上げた。
(・・・・・・)
着慣れないスーツの襟を正す。
「彼女を迎えにいくのなら、これぐらいは着ていけよ」と言われて、ロックオンから借りたものだ。
彼は、自分たちのことを祝福しつつも、自分が彼女の兄と対面することを楽しんでいる節がある。
地上に降りるついでに頼まれた煙草やスコッチの買い物リストの中に、腫れ止めの薬が含まれていたのは、そういうことなのだろう。
(・・・大丈夫だ・・・・・・躊躇する理由なんて、ない・・・)
一度目を閉じて、深呼吸する。
一番の願いは、と再び一緒に生きていくこと .
(・・・そのためなら、俺はどんなことでも受け入れられる・・・受け入れてみせる!)
不安がないわけじゃない。
いきなり父親になってやっていけるのか、またのことを傷つけるんじゃないか 悩み出せば、小さなことまで限がない。
だけど .
(分かり合うための、一歩を踏み出す・・・・・・それが必要ってことなんだろ?)
地上からでもはっきりと見える、宙に浮かぶ花に頷いて、ラッセはもう一度、その一歩を踏み出した。
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