トレミーは無事にラグランジュ3にあるソレスタルビーイングの基地へと辿り着いた。


  「スメラギさん! さんから暗号通信です」
  「開いて」
  スメラギの指示に、フェルトが頷き、送られてきたデータをモニターに呼び出した。

  「これは・・・?!」
  「アロウズの新型MS・・・?!!」
  表示されたデータに、スメラギは驚愕に目を開いた。

  そこには、トレミーを襲った新型MSの設計図があった。
  他にも開発計画があるらしく、数種の新型MSの設計図がある。

  「・・・さん、凄いです・・・・・・」
  「これ、アロウズの機密情報ですよね・・・・・・」
  新型MSに搭載されている武器の情報まである。絶対に、外部に漏れてはいけない類の情報だ。

  「・・・さんから、メッセージがあります。『極秘、宇宙で大型兵器建造の情報有。引続き詳細を調査する』以上です・・・・・・」
  呆れたように、スメラギが苦笑を浮かべる。
  「・・・まったく・・・・・・仕事熱心すぎるわよ・・・」

  「王留美でさえ知らない情報を、さんは何処から・・・?」
  フェルトの言葉に、スメラギが困ったように溜息を吐いた。

  「・・・、無理してなきゃいいんだけど・・・・・・ラッセ、とりあえず、トレミーを基地につけてくれる?」
  「了解」
  ゆっくりと、トレミーが着艦する。

  「・・・補給と整備に最短5日・・・・・・その間に、からのデータを検証しましょう」
  (急がないと、間に合わないかもしれない・・・・・・)
  湧き上がる焦りを押し殺して、スメラギは微笑んでみせた。





















  艦を降りて、ラッセの携帯端末にメッセージが届いた。
  すぐに気付けるように持ち歩いていて正解だった。

  そっと皆から距離を取る。

  皆、イアンの言葉に気を取られているから気付かない       アニュー・リターナー。
  王留美からの紹介。
  宇宙物理学、モビルスーツ工学、再生治療の権威で操船技術や料理に長け、おまけに美人・・・・・・そんなイアンの説明を、ラッセは聞き流しながら、端末を開いた。

  (・・・・・・やっぱり・・・)

  期待した通り、からだった。
  メッセージを開いて、ラッセは眉を寄せた。


        ありがとう。まだ頑張れる。でも・・・早くラッセに会いたい      .


  (・・・・・・・・・?)

        、無理してなきゃいいんだけど      .

  先程、スメラギが漏らした言葉を思い出した。

  出来るなら今すぐ地球へ戻って、を抱きしめたいと思った。
  そうすれば、いつものようには笑うだろう。おどけて、軽口を叩きながら、少し恥ずかしげに・・・・・・

  振り返っても、窓の外に広がるのは真っ暗な星空で、唯一と繋がっているのはこの携帯端末だけで、触れることも出来やしない。
  (俺は・・・無力だな・・・・・・・・・)
  不意にそう思って、ラッセは苦笑を浮かべて端末を握り締めた。





















  端末が着信を告げた時、は重くなった目頭を押さえたところだった。
  長時間パソコンの画面を見つめて作業をしていたため、当然の結果として眼精疲労の症状が現れていた。
  掠れかけた視界の中、書類の下に埋もれいた端末を引き寄せる。

  (・・・・・・ラッセから? ・・・それにしては早すぎ・・・       !!?)

  メッセージを開き、そこに踊る一文に目を走らせて、は弾かれるように立ち上がった。
  散らばる書類を踏み、積みあがったファイルを崩しながら、部屋を飛び出す。
  階段を駆け上がり、ノックもせずに扉を開けて叫んだ。


  「アーサー!!! 彼女、すぐに止めて!!!!!」
  「え?何、いきなり・・・・・・」
  突然の侵入にアーサーは驚いた顔をした。

  「スイールに向ったんでしょ?!! これ、見て!!! 兄貴から!」
  そう言って、アーサーの目の前に端末を突きつける。
  そこに書かれた言葉に、アーサーの表情が強張る。

  「すぐ連絡する」
  そう言うと、アーサーはすぐに電話をかけ出した。


  は、再び端末に目を落とした。
  そこに踊る言葉に、焦る気持ちが強くなる。


        どこにいる? スイールにいるなら今すぐ離れろ! キケン!!      .


  (・・・何が、起ころうとしてるの・・・・・・?)

  隣で鳴り続ける呼び出し音を聞きながら、は不安な予感に眉を寄せた。
















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