現世には『クリスマス』なる行事があるらしい。(これは七緒さん情報)
大切な人と過ごす、物凄く重要な日らしい。(これは恋次情報)
乱痴気騒ぎで酒を飲んでも許される日とも聞いた。(これは乱菊さん情報)
『サンタクロース』という不審者を見つけて喧嘩を吹っかける日らしい(これは一角情報)・・・が、これはよく分からない。
「クリスマス? よく分かんねぇが、その日は乱菊さんたちと現世で飲む約束してんだ。よかったら、、お前もくるか?」
修兵からの、せっかくのこの誘いに乗らないはずがない。もちろん、二つ返事で頷いた。(クリスマス万歳!!)
そんなわけで、私、は、初めてクリスマスというものを体験するために、12月24日(何故か、クリスマス当日じゃなくて、その前日がメインらしい)、現世に遊びに行ってきます!!
「無理・・・・・・」
「・・・・・・」
「ねぇ・・・本当に・・・」
「黙ってろって!!」
「ごめん・・・だけど、修兵・・・私、もう・・・・・・無理・・・・・・」
「・・・我慢しろって!!」
「ごめん、修兵・・・・・・だけど・・・・・・」
「おい、!」
「だって・・・だって・・・・・・」
檜佐木を見つめて、は唇を震わせた。
「だって・・・寒いし、真っ白なんだもの!!」
とうとう叫んだに、檜佐木も足を止めた。
「ったく・・・・・・ここはどこだよ?」
「やっぱり、迷ったの?!!」
「仕方ねぇだろ!? 雪で何にも分かんなくなっちまってんだから・・・」
一面雪に覆われた街で、途方にくれたように檜佐木とは立ちつくした。
この飲み会を企画した乱菊は「現世ではクリスマスに雪が降ると、みんな喜ぶんですって。ホワイトクリスマスとか言って」と言っていたが、現世の人間の思考を理解出来そうにない。現に今、降り積もる雪に辟易している。(寒いし、滑るし、迷うし)
「赤い看板の店って聞いてたんだが・・・」
檜佐木と一緒に見回すものの、雪を被った看板の色など判別できず、さっきから街をうろうろと歩き回っている。(疲れた・・・)
二人とも現世用の格好をしているのだが、流行だとかいう服装がどうも保温機能を無視していて、夜風と風雪に曝されてすっかり冷え切ってしまっている。(寒い・・・・・・)
「ねぇ、皆ちゃんと来るの・・・っていうか、来れるの?」
「しらねぇ・・・・・・来てんじゃねぇの?」
答える檜佐木も自信無さ気だ。それもそうだろう。雪はまったく止む気配がない。他の皆が運よく店を見つけて集合している可能性はどのくらいだろうか?(それとも、単に修兵と私の運が極端に悪いだけなのか?)
「おい、・・・」
震えたの体を、檜佐木が引寄せた。
「悪いな。自販機とかいうやつで温かいもんでも買えればいいんだが・・・・・・生憎、現世の金は恋次に預けちまってるからよ」
「だ、大丈夫だよ!! ほら、それに、私だって、現世のお金持ってないし!」
「悪ぃな」
の言葉に、少し困ったようにだが、檜佐木が笑った。(反則・・・!!)
唯でさえ今、物凄く接近してる上にそんな笑顔を間近で見せられて、平静なんか装えるはずも無く、は耳まで一気に真っ赤になった。(唯一の救いは、その原因が寒さのためだと思ってもらえること)
「お?! 何だ、! お前、結構暖かいな?!!」
「そ、そう?」
「ああ。こうしてっと何か暖けーや」
間近で輝いた笑顔に、体温がさらに上昇したのは言うまでもなく、は必死で平静を装いながら言葉を紡いだ。
「な、なら、よかった・・・クリスマスって、やっぱり、ちょっと楽しいかもしんない・・・」
「そうか? まぁ、たまにはこういうのも悪くないな」
「でしょ? メリークリスマス・・・なんちゃって」
おどけてみせたに、檜佐木も笑った。
「メリークリスマス、ってな」
一番暖かいのはあたなの
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